グローススタジオレポート

分析コラム・専門職クラスタ

プロダクトと事業を支える専門職の年収とキャリアの地図

プロダクトマネージャー、プロダクト・Webデザイナー、動画クリエイター、グラフィックデザイナー、BizOps。営業でもエンジニアでも管理部門でもない、けれど事業とプロダクトに欠かせない専門職があります。何を作るかを決めるプロダクトマネージャー、体験を設計するデザイナー、動画や紙で魅力を伝えるクリエイター、事業が回る仕組みをつくるBizOps。エンジニアが作り、営業が売る、その前後を専門的に支える人たちです。

本稿では、全国171エリアの公開求人データ(求人ボックスに掲載された求人の月給×12・中央値)を横断し、これら5職種を「年収の水準」「到達しうる天井」「リモート・地方適性」「キャリアの接続」の4つの軸で俯瞰します。職種はバラバラに見えますが、「専門性が高く天井も高い」「リモートやフリーランスと相性がいい」という共通点があります。後半では5職種を1つずつ解説します。

全国171エリア/5職種/集計: 公開求人 月給×12 中央値

1. 入口には幅があるが、天井はどれも1000万超が見える

まず全国の中央値(月給×12ベース)を高い順に並べます。

プロダクトマネージャー(450万)が頭ひとつ抜けています。これは全クラスタを通しても最も高い入口水準です。続いてプロダクト・Webデザイナーとオペレーション(BizOps)が336万、グラフィックデザイナー324万、動画クリエイター312万。入口は312〜450万と、これまでのクラスタより幅があります。

一方で、それぞれが到達しうる天井を見ると、5職種すべてに1000万超が視野に入っています。

  • プロダクトマネージャー:プロダクト責任者(CPO=最高プロダクト責任者、VP of Product)級で1200〜1800万
  • BizOps:RevOps(収益オペレーション)責任者で1000〜1500万
  • グラフィックデザイナー:クリエイティブディレクター(CD=制作全体の統括)級で1000万超
  • 動画クリエイター:制作プロダクション運営や大手案件の責任者で1000万超
  • プロダクト・Webデザイナー:デザインシステム構築・ブランド設計で600〜900万

つまりこのクラスタは、入口の幅こそあれ、専門性を極めれば職種を問わず高い天井に届くのが特徴です。デザインや映像は「食えない」というイメージを持たれがちですが、ディレクション・統括の側に回れば、他の専門職と遜色ない年収に到達します。

  1. 1 PdM
    450
    1200〜1800万 (CPO(最高プロダクト責任者)・VP of Product)
  2. 2 Webデザイナー
    336
    600〜900万 (デザインシステム・ブランド設計)
  3. 3 BizOps
    336
    1000〜1500万 (RevOps(収益オペレーション)責任者)
  4. 4 グラフィック
    324
    1000万超 (クリエイティブディレクター)
  5. 5 動画クリエイター
    312
    1000万超 (制作プロダクション運営・大手案件責任者)

表:全国中央値(月給×12)と、各職種で到達しうる天井の目安。数値をタップで職種別ページへ。

2. リモート・フリーランスと最も相性がいい専門職群

このクラスタのもう一つの共通点は、リモートやフリーランスとの相性が良いことです。5職種すべてでフルリモート求人の中央値が出社中心を上回ります。

  • プロダクトマネージャー:出社中心 450万 → フルリモート 511万
  • プロダクト・Webデザイナー:出社中心 336万 → フルリモート 360万
  • 動画クリエイター:出社中心 312万 → フルリモート 360万
  • グラフィックデザイナー:出社中心 324万 → フルリモート 350万
  • BizOps:出社中心 336万 → フルリモート 360万

とりわけ動画クリエイターとデザイナーは、フリーランス・在宅の比率が極めて高い職種です。成果物がデータで完結し、実力が作品で明確に伝わるため、居住地を問わず仕事を受けられます。都市部の制作会社に勤めたあと、地方在住のフルリモートで受託を続ける、というキャリアも一般的です。プロダクトマネージャーやBizOpsもUIターン適性が高く、地方にいながら都市部スタートアップの中核を担えます。作品と成果で評価されるこのクラスタは、働く場所の自由度が最も高い領域の一つです。

職種 出社中心 フルリモート UIターン

表:出社中心とフルリモートの中央値。「↑」= フルリモートが出社を上回る職種。UIターン列は本サイトの職種別リモート適性評価。

3. 職種別ガイド:5つの専門職を1つずつ

プロダクトマネージャー(中央値450万 / 天井CPO 1200〜1800万)

プロダクトの司令塔。「何を作るか」の戦略、ロードマップ、優先順位を決める職種で、SaaS・プロダクト企業の中核です。プロダクト戦略とロードマップの責任経験で年収700〜1000万、プロダクト責任者(CPO・VP of Product)級で1200〜1800万と、このクラスタで最も高い天井を持ちます。営業・マーケティング・エンジニアからの横転換が王道で、地方からの都市部スタートアップ転職も増えています。事業とユーザーの両方を見て意思決定したい人に向きます。

プロダクト・Webデザイナー(中央値336万 / 体験を設計する職種)

UI(画面の見た目)とUX(使い心地)を設計し、Web制作も担う職種。地方では「Webデザイナー」、都市部スタートアップでは「プロダクトデザイナー」として募集される傾向があります。UI設計+UXリサーチの経験で年収+100〜200万、ブランド設計やデザインシステム(一貫したデザインの仕組み)の構築でさらに上振れします。制作会社から事業会社へ、地方受託から都市部SaaSへ、という道が代表的。見た目と使いやすさの両方をつくりたい人に向きます。

動画クリエイター(中央値312万 / フリーランス在宅率が最も高い)

動画で魅せる職種。Adobe Premiere・After Effectsなどを使い、Web広告・YouTube・SNSショート・企業PR動画を制作します。需要拡大でフリーランス・在宅率が極めて高い。編集者単独で300〜500万、ディレクター・進行管理の経験で500〜700万、自社プロダクション運営や大手案件の責任者で1000万超。受託制作からフリーランス独立へ、都市部の制作会社から地方フルリモートの継続受託へ、という道があります。手を動かして形にするのが好きな人に向きます。

グラフィックデザイナー(中央値324万 / 紙・広告で魅せる職種)

印刷物と広告で魅せる職種。チラシ・パンフレット・パッケージ・ロゴなど紙媒体や販促物を中心に手掛けます(Web・UI領域は上のプロダクト・Webデザイナー)。デザイナー単独で300〜500万、アートディレクター(AD=制作物の方向性を決める役割)で500〜800万、クリエイティブディレクター級で1000万超。制作会社・代理店から事業会社のインハウス(社内専属)デザイナーへ、地方の印刷会社から都市部広告代理店のADへ、という転換が代表的です。

BizOps・RevOps・営業企画(中央値336万 / 事業が回る仕組みをつくる)

事業のオペレーションを設計する職種。SalesforceやHubSpotの運用、データ分析、CAC(顧客獲得コスト)・LTV(顧客生涯価値)の設計などで、事業が効率よく回る仕組みをつくります。SaaSスタートアップを中心に急増している新興職種です。ツール運用+データ分析+数値設計の経験で年収+200〜300万、RevOps(収益オペレーション)責任者で1000〜1500万。営業やコンサルからの転換、地方のマーケティング運用者から都市部SaaSのBizOpsへ、という道があります。数字で事業を動かしたい人に向きます。

4. 年収を上げる共通パターンは「専門性 × ディレクション × 独立という選択肢」

5職種は仕事の中身が違いますが、天井を上げる条件には共通項があります。

① 専門性の深さ。 PdMなら戦略、デザイナーならUI/UXやブランド、映像なら演出、BizOpsなら数値設計。「この領域なら任せられる」という深さが、単価を上げる土台です。

② ディレクション・統括への到達。 個人で作れるだけでなく、方向を決めて全体を統括する側に回ること。CPO、クリエイティブディレクター、RevOps責任者など、「責任を持つ側」への移行が1000万超への分岐点です。

③ 独立・フリーランスという選択肢。 とくにデザイン・映像は、実力がつけばフリーランスとして単価と裁量を自分で設計できます。会社員として責任者を目指す道と、独立して高単価案件を積む道の、二つの上げ方があるのがこのクラスタの特徴です。

まとめ:この地図の使い方

  • 専門性を武器に高い年収を目指すなら、5職種すべてに1000万超の天井があります。入口の水準より、その専門をどこまで極めるかが効きます
  • 地方にいながら、あるいは自由に働きたいなら、このクラスタはリモート・フリーランス親和性が最も高い領域です。とくに動画・デザインは作品で評価されるため場所を選びません
  • 事業の中核を担いたいなら、プロダクトマネージャーやBizOpsは、プロダクトと事業の意思決定に最も近い専門職です

営業・エンジニア・管理部門の陰に隠れがちですが、プロダクトと事業を「決める・設計する・魅せる・回す」この5職種は、専門性を極めれば高い天井と働く自由の両方に手が届きます。

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この記事に出てくる各職種の全国データ

それぞれの職種について、47都道府県・171エリアの地域別/働き方別(出社・ハイブリッド・フルリモート)の中央値を確認できます。

※ 集計仕様:本稿の数値は公開求人の提示給与中央値(月給×12)です。在職者の実年収(e-Stat 賃金構造基本統計)とは集計仕様が異なります。集計の詳細は運営・集計方針をご覧ください。

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